2025年11月29日(土)、玉川大学にて日本シティズンシップ教育学会第6回大会が開催されました。「世界の分断・対立に向き合うシティズンシップ」というテーマで行われた第6回大会は計72名の参加を得て、おかげさまで盛会のうちに終了することができました。多くの会員の皆さまのご支援、ご協力のおかげで実り多い大会が実現しましたことを、ここに深く感謝申し上げます。

水山光春元会長および藤原孝章監事による開会式の後、基調講演は誠信女子大学校教授で韓国国際理解教育学会会長の曺大勲(Jho Daehoon)先生をお招きし、「合意から論争へ:シティズンシップ教育における競合的民主主義の教育的可能性を探る」というテーマで行われました。価値対立の顕在化する現代社会において合意形成に向けた競合的民主主義の新たな可能性を批判的に検討するという刺激的な内容で、会場に反響を引き起こしました。講演の通訳は早稲田大学の由井一成先生と静岡大学の安冨勇希先生に担当して頂きました。
曺先生の基調講演を受けて、「分断と対立を乗り越えるシティズンシップをいかに育成するか」というテーマでパネルシンポジウムが行われました。玉川大学の宮本英征先生は歴史教育の視点から、新潟国際情報大学の中原澪佳先生は非暴力コミュニケーションの視点から、東京科学大学/次世代ユネスコ国内委員会の小林真緒子先生はユース・エンパワメントの視点から新たな時代状況に求められるシティズンシップのあり方について提言をされました。こうした多岐に亘る議論を北海道教育大学の石森広美先生がコメンテーターとして会場からの意見も交えて整理して下さり、新たな共生モデルに向けたシティズンシップの捉えなおしという知の冒険への突破口を示唆して頂きました。
午後は長沼豊会長の招集による総会が開催された後、3つの分科会にて計18件の個人研究発表が行われました。教科学習、グローバル・シティズンシップ、主権者教育、ポスト真実時代の挑戦など、多岐に亘る今日的なテーマについて熱い議論が展開されました。
JACED事務局や大会実行委員会を含め、大会運営にご支援とご協力を頂いた皆さまに心より感謝申し上げます。また、遠路よりお越し頂いた会員の皆様にはあらためて厚く御礼申し上げます。第6回大会にご参加下さった皆さまがご自身の今後のシティズンシップ教育研究や実践の展開に向けて参考になる何かを得て頂けたならこの上ない喜びです。
日本シティズンシップ教育学会も第4期に入りました。会員の皆さまのご協力を得て、まさに同時代的な喫緊の課題であるシティズンシップ教育をさらに盛り立ててゆければと願っておりますので、今後とも引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
日本シティズンシップ教育学会第6回大会実行委員長
日本シティズンシップ教育学会会長
玉川大学教育学部 小林 亮