シティズンシップを育む上でボランティア学習にはどのような役割や機能があるのでしょうか。また、進める上での課題は何でしょうか。「シティズンシップ教育とボランティア学習」の「と」の意味も考える第6回特別講座が7月9日に行われました。今回は登壇者に長沼 豊 先生(日本教育実践研究所)をお迎えして開催いたしました。開催の要約をご報告いたします。
内容
「ボランティア活動」は社会課題に向き合い貢献するもので、その学習性に着目して社会体験学習として構成したものが「ボランティア学習」です。その「学習」をさらに1ボランティア活動のための学習、2ボランティア活動についての学習、3ボランティア活動による学習と分類し、学習目的も短期目的、長期目的、そして学習過程の中に現れるもの、と整理できます。
ボランティアには保守的立場と言える社会奉仕Social Serviceと革新的立場の社会運動Social Actionの2つの側面があります。「ボランティア学習」がシティズンシップ教育になり得るのは、主体的・能動的な学習形態で展開していて批判的思考力の向上を図っているときで、批判的思考力が大事なのです。
英国「クリックレポート」の3要素A社会的・道徳的責任、B社会参加、C政治的リテラシーとボランティア学習の3タイプを整理したのが表1です。BだけでなくA、Cを入れ込むことで単なる奉仕活動ではないシティズンシップ教育の方法論になります。この3つの要素は並列的です。
質疑
Q. 学習者の動機付けの利己主義と利他主義について。
A. 学びは広いものなのでどこからはじまってもいいとしてきた。動機は不純でも役立つなら意味があると思っている。性善説だが変容する可能性はある。
Q. ボランティア学習は小学校では教科のしばりもあり特別活動や総合に入ると思うが。
A. 社会科でも可能。初期にボランティア学習に取り組んでいた教員は中高の社会科が多かった。